退任に寄せてのメッセージ

阿久津 裕子先生

あくつ ゆうこ

東京医科歯科大学 小児科 助教

森尾先生との思い出

医学部4年生の時にプロジェクトセメスターで直接ご指導いただいたことが最初の出会いでした。研究に興味のなかった私ですが、臨床と研究を繋ぎ互いに相乗効果を生み出し患者さんに還元される森尾先生の姿に感銘を受けました。そこから後輩として働くことを目指すようになりました。

その後も私の医者人生の節目にはいつも森尾先生の存在がありました。進路に迷っていた初期研修医のとき、外部の研究室へ勉強に行きたいと思い始めた大学院進学のとき、いつも背中を押してくださったのが森尾先生でした。

特に思い出深いのはサブスペシャルティ決断の際です。私が専門とする小児リウマチ膠原病は、小児科入局時には診療グループとして存在せず、大学内に誰も専門家がいない状況でした。ここで実現することは叶わないかもしれないと悩んでいたこと、お見通しだったのでしょうか。ある日森尾先生の部屋に呼んでいただき、医科歯科小児科でこれからどんなことが出来るかをお話してくださいました。私のやりたいことにもNOとは言わず、実現の可能性を一緒に考えてくださる懐の深さに感動しました。森尾先生の語るビジョンにわくわくしたのを昨日のことのように覚えています。あの日がなければ今の私はなかったでしょう。その後仲間が増えグループとしても確立できるようになるまで、多くのご指導を賜り温かく見守っていただいたこと、心から感謝しております。

ちなみに、医療に対して鋭い眼差しを向ける森尾先生ですが、一歩仕事を離れると見せてくださる満面の笑み、そんなギャップもとても素敵でした。

森尾先生から学んだこと

臨床・研究・教育などの枠組みにおさまることなく、森尾先生が幅広く未来までもよく「みて」いると感じていました。目の前の患者さんを、我々医局員や仲間達を、そして日本の小児医療を。その目に何が映っているのか知りたくて、教授回診では森尾先生の一挙手一投足を必死に観察していました(森尾先生の回診はとても学びが多かったのです)。いまだその全貌はわかりませんが、少しでも近づけるよう精進します。

森尾先生への感謝の言葉

森尾先生のおかげで仕事の面白さや喜びを知ることが出来ました。私にとって森尾先生は至高の小児科医であり、生涯かけて背中を追っていきたい先輩です。
本当にありがとうございました。これからもご指導よろしくお願いします。