退任に寄せてのメッセージ

細川 奨先生

ほそかわ すすむ

武蔵野赤十字病院 小児科 副部長

森尾先生、この度はご無事での退職をお迎えになり、誠におめでとうございます。

私が森尾先生に初めてお会いしたのは、1999年夏、東京医科歯科大学小児科の見学に訪れた時です。当時医局長だった森尾先生は、異様に日焼けした私を、爽やかな笑顔で出迎えてくださいました。森尾先生の最初の印象は「(イケメン俳優)別◯哲◯に似ている!」ということでした。同時に「爽やかすぎる!きっと裏の顔があるはず!」とも思いました。

次にお世話になるのは、2010年大学院への入学後です。ある夜M&Dタワーの前でお会いしました。その中で「細々とでも研究は続けてください」とお言葉を頂戴したことは今でも覚えています。その後、海外留学や、細々とでも基礎研究を続けようと考えたのもそのお言葉が契機になりました。後にその言葉は額面通りに受けとってはいけないことを理解しました。「小さなことをコツコツと続け、大きく展開をしてください」というメッセージだったのだろうと思います。海外留学中には折に触れご連絡をくださり、Face Timeを通じていつもお気遣いくださいました。日本に戻る際にも「キャリアに空白があってはいけないから」と、帰国後2週間たらずで、大学に呼び戻してくださいました。

さらにお世話になるのは、2020〜2022年度の3期にわたり、医局長を務めさせていただいた時です。当時の医局長チームで毎週1回早朝に森尾先生お会いし、診療・研究・教育・人事等のご相談に、数多のアドバイスを頂戴しました。前夜の資料作り、若干の胃痛を自覚しながら、毎週その時間が終わる度に全身の力が抜けました。常に考え、問題点を挙げること、そしてその解決策を自分なりに考えることの癖がこの3年間で身につきました。時にぼそっとおっしゃること(私たちはそれを「とんち」と呼んでいました)の真意を考えつつ、皆で頭を悩ませたことは今となってはよき思い出です。

優しさの中に時に厳しさも織り交ぜ、常に医局・医局員のあらゆる事項を俯瞰され、「いかにして皆が輝けるか」を考えてくださいました。

そこには「絶対にある!と思っていた"裏の顔"」はなく、あらゆることに真摯に向き合う「裏表のない顔」でした。

これからもご自愛され、ますますご活躍されることを祈念しております。

森尾先生、本当にお世話になりました。そして今後ともご指導ご鞭撻をどうぞよろしくお願い致します。