この度はご退官おめでとうございます。
森尾先生との出会いは、6年生であった学生時代に遡ります。当時、私自身、小児血液腫瘍だけでなく先天性免疫異常症の分野にも関心があり、地元の愛媛にとどまるか検討している時期でした。医局長であられた森尾先生にご案内いただき、矢田純一教授、大川洋二助教授を中心とした活発な病棟カンファレンスに参加し、温かくお声がけいただき入局をお願いする運びとなりました。
患者さんが辛いときは、主治医も苦しくなるものであり、その中で主治医として意思決定していく思考プロセスについてご教示いただきました。主治医としてどのように考え、計画を立てていくのか、日々進歩する情報を適切に収集、判断していくことは今後も大切に心がけたいと考えております。
研究面でも多大なご支援をいただき、血液腫瘍だけでなく先天性免疫異常症にまたがる研究を展開できていることに感謝申し上げます。大学院時代は、白血病の母子間転移の腫瘍クローンの起源解析を行い、森尾先生が開設に関わられた細胞治療センター内でご支援をいただきました。加えて毛細血管拡張性小脳失調症の責任遺伝子ATMが欠損したマウスES細胞を用いてT細胞分化異常の検証を行っておりました。しかしながら、マウスES細胞からT細胞系列への分化誘導実験の確立に苦慮しておりました。その際には、当時理化学研究所(現京都大学再生免疫学分野)にいらした河本宏先生の研究室をご紹介いただき、分化誘導実験について手取り足取り学ばせていただく機会をいただきました。
森尾先生は先見の明に長けておられます。大学院最終学年で海外留学を考えている際に、T細胞分化の専門家であるEllen V Rothenberg先生らが発表された論文(PMID: 22500808)を教えていただきました。渡米しMurre研(UCSD)で取り組んだ非コードRNA ThymoDとT細胞系列決定の研究テーマでは、まさに本論文の公共データを解析することが根幹となり展開されたことをご紹介させていただきます。常に研ぎ澄まし貴重なリソースを生かしていく大切さを学ばせていただきました。
先生から学んだことを大切に将来の医学に微力ながら貢献できるよう精進致します。今後も温かく見守っていただけますと幸いです。最後に、森尾先生の益々のご発展を祈念致します。