退任に寄せてのメッセージ

水谷 修紀先生

みずたに しゅうき

東京医科歯科大学名誉教授
公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンター 副理事長/先端生命医科学研究所長
認定特定公益信託 日本白血病研究基金運営委員長
日本小児がん研究グループ(JCCG)初代理事長

光陰矢の如しー森尾友宏教授の退任に寄せてー

森尾先生が新進気鋭の小児科教授として小児科学会に登場されて、数々の業績を上げられたのち、このたび定年を迎えられたことを知り一抹の寂しさを感じながら、ペンを取っています。

平成12年、私は学外出身者として右も左もわからないまま東京医科歯科大学小児科の矢田純一教授の後任として招聘されました。その頃、森尾先生はちょうど医局長として、東京医科歯科大学小児科の置かれた学内外の事情に精通されており、その協力と支援のおかげで私は無事に職責を果たすことが出来ました。助教、講師、准教授時代を通して森尾先生は専門である感染・免疫学に精通する傍ら、時代の流れを的確に読み取り、医学教育をはじめ、細胞治療や再生医学など多方面において東京医科歯科大学並びに小児科学教室の発展に多大な貢献をされてきました。その成果は優れた学問業績と多くの新入局者を輩出されたことに反映されているところです。

一方日本小児科学会理事としてもその活躍は目覚ましく、その優れた采配ぶりには目を見張るものがありました。小児科学教室は他の診療科と異なり、小児のための総合診療科としての使命を背負っています。その意味で小児科の教授になってしまうと自分のサブスペシャリティーを一旦棚に上げて小児科全般に配慮する必要に迫られ、その分苦労も多いものです。その意味で森尾教授はその困難さを克服され、自分の専門性と小児科学教室の主宰者としての使命を見事に両立されたと、言えるでしょう。

今、人生100年時代を迎え、65歳はまだまだ働き盛りであります。森尾先生がこれからも健康に気をつけて日本の子どもたちや日本の医学会のためにより一層ご活躍いただくことを期待しています。

令和5年1月4日