森尾先生、長年のお勤めおつかれさまでした。森尾先生の偉大なご功績は数知れません。中でも再生医療分野の研究開発の飛躍的な進展、臨床から実用化への貴重な足がかり、医療分野と産業界の橋渡しなど、再生医療を巡る大きな変革期を牽引されたことは、医療全体のみならず政府、産業界など広く我が国の発展に寄与されてきました。
森尾先生との出会い
森尾先生との出会いは、まさに再生医療発展の創生期でもある2012年でした。当時は、山中伸弥先生がノーベル賞を受賞され、政府として本格的に再生医療の実用化に乗り出したタイミングでした。それまで文部科学省によるアカデミア支援、厚生労働省による臨床からレギュラトリーサイエンスに至る医療支援・制度整備を進めておりましたが、実用化部分での一層の加速ということで経済産業省が参画することになったのですが、医療分野の知見があまりに足りず、参入障壁が高さに苦労しておりました。そのような時に、当時の江崎バイオ課長と私が森尾先生をお訪ねし、一からご指南いただいたことが経済産業省における再生医療推進のすべての基礎になりました。その後、森尾先生のご協力の下で、経済産業省が実用化・産業化に向けた課題と対策をまとめ、企業の投資を呼び込むために市場予測などを発表しました。この追い風で厚生労働省では様々な制度整備を進め、産業界では数々のベンチャー企業が生まれ、装置や培地等の企業も開発投資を進めていく動きにつながったのです。森尾先生のご協力がなければこの10年間の実用化の進展は無かったと言えます。
森尾先生の魅力
森尾先生のお人柄も大きな魅力だと思います。いつも優しく穏やかで、それでいて信念が強く、本質を捉えてぶれない姿勢に私は常に魅了されていました。森尾先生のおっしゃることであれば信じて進められる、そう強く感じながら一緒にお仕事させていただきました。人を魅了してやまない森尾先生のことですので、ご退職されても引き続きコミュニティの中心でいらっしゃると思います。各所から引っ張りだこだとは思いますが、是非、仕事を超えた個人的なつながりでも引き続き親交させていただけると嬉しいです。
本当にこれまでお世話になりましてありがとうございました。森尾先生の信念とご功績をしっかりと継いでまいりますので、引き続きご指導いただけますと幸いです。森尾先生のますますのご活躍とご多幸をお祈りしております。