退任に寄せてのメッセージ

矢田 純一先生

やた じゅんいち

東京医科歯科大学名誉教授(元小児科教授)

森尾先生は私にとって金の卵でした

私は1978年に小児科学教授として着任しました。当時教室員に期待したのは診察能力にすぐれた小児科医を目指すのはもちろんのこと、病気の本態を明らかにし、それに基いて新しい医療を開発するような人材も育って欲しいということでした。

そんな試行錯誤の5年後、森尾先生が入局してこられました。よくぞ小児科を進路として選んでくれたと思います。私の望んでいた理想の人材だったからです。天才か秀才かというと、先生は秀才の方かと思います。天才はあることには抜群の才能を示すけれども、他の面では問題なことがあるように思います。先生はさまざまな方面にバランスよく才能を発揮する逸材と思うからです。予想どうり優れた業績を数々と挙げられたことは周知のところです。まさに私が望んでいた小児科医像を実現して頂けたのです。それは私にとっても幸運なことでした。

個人的にもご結婚に際し媒酌人をつとめさせて頂くご縁を頂きました。私が老眼が始まり難儀していた時、拡大読書器をプレゼントしてくれ、気使いのある方と思った次第です。家族が病気になった時、相談したところ、御多忙中にもかかわらず手際よく手配してくださり、気配りにたけた方とも感じました。そのように才能ばかりでなく、人柄という面でも感服しています。

干支からいうと、先生と私とは2まわり違いの同じ戌年生まれです。私は退官後25年近くなりますが、その経験からみても先生はまだまだ春秋に富んでいます。今後も一層のご活躍を期待しております。