森尾友宏先生と東京医科歯科大学小児科医局について考えたとき、私の頭の中に真っ先に浮かぶイメージは、「ディズニーランド」です。そう、皆さんがよく知る、ミッキーとミニーがいる、あの「ディズニーランド」のことです。
私は偶然にも、森尾先生が教授に就任されたとき、そしてこの退任のタイミングにも大学で教員として勤務することになりました。また光栄なことに、退任を迎える年に森尾先生のもとで医局長を務めることとなり、森尾先生と、森尾先生を中心に発展する医局の姿を、間近で見ることができました。
そこで見えたのは、大学の中での「森尾先生が率いる小児科」のプレゼンスの大きさ、御茶ノ水子ども医療総合ネットワークの成長と拡大、医局員の自治を尊重し、他に類を見ないオープンな組織として成熟を遂げた医局の姿でした。
「大学医局はオワコン」とささやかれるこの時代にあって、この東京医科歯科大学小児科医局には、伝統に甘んじることなく、時代と共に変化することを恐れない精神があり、また未来の更なる成長の可能性が無限に広がっていることを肌で感じ取ることができました。森尾先生が率いる医局の姿は、ウォルト・ディズニーが「永遠に完成しない」と言い、そして今なお発展を続け、キャスト(医局員)とゲスト(患者)に夢と希望を与えてくれる「ディズニーランド」のイメージとまさに重なるものだったのです。ディズニーランドが人々を惹きつけてやまないように、森尾先生が率いる医局の姿に私は惹きつけられました。そのようして、同期の中で真っ先に医局を離れそうになっていた私が、医局長としてここにいて、この文章を書かせていただいているのです。
ウォルト・ディズニーが去ってもディズニーランドにはその魂が引き継がれていれるように、森尾先生を中心に発展したこの医局はこれからも、その精神を土台としながら、完成せずに発展を続けていくことと思います。私も微力ながら引き続き、その発展に力を尽くして参ります。
また、まだ歴史の浅い新生児グループのことを森尾先生は常に気にかけ、温かく見守り発展の力を与えてくださいました。新生児グループを代表する者として心より感謝申し上げます。きっと退任後も森尾先生はまだまだ多くの方面でご活躍されるかと思いますが、どうか今より少しごゆっくりなさってください。フロアで朝、最初に明かりが灯るのが、森尾先生の部屋ではなくなることを祈っております。